失われた公演

文学座
『昭和虞美人草』

公演団体

文学座

マキノノゾミ

演出

西川信廣

宣伝美術

三木俊一(文京図案室)

公演日程

2020年6月9日(火)~6月17日(水)

会場

紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA

延期公演

日程:2021年3月9日(火)~3月23日(火)
会場:信濃町 文学座アトリエ
http://www.bungakuza.com/gubijin/index.html
ライブ配信あり

コメント

この新作戯曲の舞台は昭和48年(1973)で、秋にオイルショックがあった年です。

その時に起こったトイレットペーパーの買い占め騒動などはリアルタイムに見て、よく覚えています。

でも、この新作を書くための資料で改めて当時のニュース写真などを見ても、それはいかにも昔の話で、こんな滑稽な騒ぎはもう日本では起ることはあるまいと思っていました。

それが47年もたって、タイムリーにまさに同じことが起きました。

トイレットペーパーやマスクや消毒薬を求めて朝の6時から行列する人々を見て「何だか世の中ってあんまり進歩しないものなのだなぁ」とけっこう衝撃を受けました。

それから、あれよあれよという間に状況が悪くなって、とても芝居どころじゃなくなり本作も上演中止となりました。

考えてみれば、島村抱月が亡くなった大正時代のスペイン風邪の流行時でも松井須磨子の『カルメン』は上演中だったわけで、それを思うと、コロナ禍によるすべての公演活動のこの長い中断は、演劇界にとって文字通り未曽有の大事件なわけです。

「わたしたちはいつだって歴史の真っただ中にいる」のだと改めて思い知らされた年となりました。

マキノノゾミ/2020年10月10日

関連リンク

http://www.bungakuza.com

資料提供

文学座

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