公益財団法人かすがい市民文化財団
『春よ恋』
公演団体
公益財団法人かすがい市民文化財団
作・演出
有門正太郎
チラシデザイン
大西絵里加(公益財団法人かすがい市民文化財団)
写真
浅田政志
公演日程
2020年2月29日(土)・3月1日(日)
会場
春日井市民会館
延期公演
今後の公演予定:2021年2月20日(土)・21日(日)
コメント
中学生から後期高齢者と呼ばれる世代まで幅広い市民参加による舞台。「明日から集まることも厳しい」と伝えられた時の、参加者の表情と空気感は忘れられない。
本番2日前、劇場で通し稽古をした後に集められての報告だった。
何とも言えないやり場の無い思い、参加者と同様に無念の思いが伝わるスタッフたち。本来なら中止という選択肢の中、1ヶ月後に延期という選択を劇場側が判断してくれた救いの言葉に、みんなの表情が少しだけ緩んだ。
そして3月末、1年後にあたる2021年の2月への延期が再度決まった。
結果的にあの日から未だに参加者と集まれていない。
当初、ここまで深刻に考えていなかったのは、誰しもそうだろうと思う。まさに対岸の火事。
そしてあの日から、時が止まったような感覚が未だに続いている。
6月、集まれない参加者にメッセージを送った。
「この記憶こそ財産なのです。生活に追われ不安に苛まれ、今を忘れてしまわないよう、しっかりと覚えていてください。そしてまた、その記憶で、劇しましょう」
ふと、戦争の話をしたがらなかった、他界した祖母を思い出した。
おそらく、コロナ禍の混沌とした状況を遥かに超える毎日で、いちいち覚えていられる状況では無かったであろう。とにかく毎日を必死に生きる事だけが精一杯だったのではないか。生と死が今より近く、「生き残ったのは運がいいだけ」と言っていた祖母。
この状況をどう面白く捉えられるのか、そう思うしかない。改めて分かった事も多く、それはそれで充実した毎日を送っている。ある種、しっかりと自分を見つめ直す良い機会になった。そして祖母に少し近づけた気がした。
どんな状況であれ創作することは辞めないだろう。
そんな覚悟が決まるコロナ禍だった。
早くみんなに会いたい。
有門正太郎/2020年10月7日
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資料提供
公益財団法人かすがい市民文化財団