失われた公演

art unit ai+
『~語りと弦で聴く~平家物語 文覚と六代』

公演団体

art unit ai+

構成・演出・宣伝美術

金子あい

公演日程

2020年6月3日(水)~6月4日(木)

会場

座・高円寺2

コメント

【延期になった経緯】
2020年2月末、大型イベントの中止や全国一斉休校措置を受け、より詳しい情報収拾を始めました。新型コロナとは? どこまで拡大するのか? 国内外(特に海外の演劇や音楽に関係する情報が役に立ちました)の情報を集めても、その時点で6月の公演が可能かを見極めるのは難しく、決断のリミットを3月末と決め、ギリギリまで様子を見ることにしました。チケット会社の媒体に広告が掲載され、3月14日からチケット販売は始まりましたが、顧客へのDMは見合わせ、積極的に販売しないようにしていました。

陽性者増加と緊急事態宣言を受け、感染の危険性が高い中で無理して公演するべきではないし、また、実施したとしても観客は来ないだろうということで、4月8日に6月公演の延期を決断し、関係各所への連絡。ブログやSNSで周知。個人主催の公演ですので金銭的被害をできるだけ抑えたいと考えました。スタッフは事情を飲み込んで延期ということで了承してくれました。この公演は杉並区の助成金対象事業だったため、年内の振替公演も検討しましたが、会場やスタッフのリスケジュールが難しく、また秋以降コロナの第二波、第三波が予測されたため、年内の上演は断念し助成金は辞退しました。来年以降、様子を見て上演を実現させたいと思っています。


【コロナの影響下における演劇界の状況についての考え】
とても一言では言えませんが、人と人が近寄ってはいけないと言われたときに、あらゆるライブ表現に関わる人間はなす術を持たないということを痛感しました。と、同時に、人と人が集い、劇場で「共鳴」することがいかに尊く、私たちにとって必要なことであるかも痛感しました。どれほどオンライン化し、バーチャルが発達しても、一人一人が共鳴し合うライブでの表現は決して無くなることはない。むしろもっとあるべきだと考えます。コロナは数年で収束しないかもしれませんが、どのようにしても我々は生き延びて、心を震わせる舞台を作っていきたい。そのために従来のように個々の団体がチケット収入で成り立たせる努力に任せるだけでなく、ベーシックな芸術支援の仕組みを考えるべきだと思います。それは芸術全体やアーティストの支援を通して、社会全体の文化支援をするということです。

また、頑張りすぎるほど頑張っているアーティストやスタッフの精神的サポートも必要なのではないかと感じています。このままでは先行きの不安とコロナへの無理な対応で壊れてしまう人が出るのではないかと心配しています。

ささやかでも関係者の仕事を作り出し当面を凌ぐために、出来る限りプロジェクトを企画して支援金や助成金の申請をしています。しかしながら、このコロナにおいては期限を区切った事業に対する助成は、かえって無理がかかり疲弊を加速させるとも言えるのではないでしょうか。一部自己負担のあることは、実質的に金銭支援にはなっておらず、むしろ何もせずにじっとしている方が支出しなくて済むという大きな矛盾を抱えており、ありがたいけれども根本的疑問を感じています。

金子あい(art unit ai+)/2020年10月19日

関連リンク

https://www.facebook.com/pg/arahijiri/posts/

資料提供

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