幻都
『テンダーシング―ロミオとジュリエットより―』
公演団体
幻都
作
ベン・パワー
翻訳監修
松岡和子
演出
荒井 遼
チラシデザイン
宇野奈津子
公演日程
会場
未定
延期公演
2021年2月24~28日
コメント
「公演日未定」と書いたチラシを作りました。
折り込みをしました。みんなに笑われました。テロチラシと呼ばれました。不思議な顔をされました。「貰ってどうすればいいの?」その通りです。捨てられるだけかもしれない。それでも配り続けました。デザインがかわいいと評判でした。嬉しいです。僕も大変気に入っています。
経緯を軽くご説明すると、8月公演予定を9月に延期。稽古開始時期に感染者数が増加。けれど、解散するつもりは毛頭なく「公演日未定の公演」としてチラシを作成しました。延期の経緯や心情ははチラシそのものに書きました。
このチラシを配りつつ、予定通り稽古をしました。稽古期間が、制限付きから、使いたい放題プランに変更になったので、土居裕子さん、大森博史さんと、ゆったり、楽しく、のんびり稽古をしました。公演日が決まらずに好きなだけ稽古していいなんて、こんな幸せなことはありません。締め切りに追われることなく、好き勝手にああでもないこうでもないとできるのです。稽古の終盤には、衣装、ヘアメイク合わせもしました。セットの模型も、稽古に合わせて更新されていきました。ありがたいことに、普段なら忙しいスタッフも色々協力をしてくれました。いつの間にか稽古は静かに熱を帯びていきました。
そう、つまるところこの夏は、かなり楽しかったのです。
やがて、出番がやってくる日のために……。まるで、清水邦夫の戯曲「楽屋」のようです。女優の幽霊たちが、いつやってくるか分からない出番のために、稽古をしている。しかし、そこには悲壮感はない。
季節は巡り冬になりました。僕はチラシを配り続けています。最近は赤のマジックで「2021年2月24~28日ぐらい」と書き込んでチラシを渡しています。
最近ようやく公演日を決めたのです。「2021年2月24~28日」
今、ここで舞台芸術の意義を主張する気にはなれません。人が生きてる方が大事です。
もし興味を持って頂けて、劇場に足を運んで下さるのなら……
失われた公演は、蘇りかけてます。
荒井 遼(演出家)/2020年12月14日
関連リンク
https://theatertheater.wixsite.com/tender2020
資料提供
幻都