コロナ禍の児童青少年舞台芸術
吉田明子(日本児童・青少年演劇劇団協同組合代表理事)
コロナ禍以前、私たちは毎日毎日、幼稚園・保育園・学校に出かけ
時にはホールで上演していました
学校の体育館や遊戯室が劇場となり、子どもたちは目を丸くし
そこで繰り広げられる舞台に釘付けになっていました
私たちには日常であり、子どもたちにはトクベツだった日々
そんな日々が一変しました
急変した生活を受け入れざるを得ない子どもたち
一生懸命我慢している子どもたち
社会環境が大きく変わりストレスを抱えている子どもたち
そんな子どもたちに早く舞台を届けたい
早く子どもたちに会いたい
2020年2月末に出されたイベント自粛要請以降、子ども向けの公演も次々と中止となりました。特に幼稚園・保育園・学校などでの集団観劇は6月頃まで皆無と言ってよい状況となり、児演協(日本児童・青少年演劇劇団協同組合)が加盟団体に対し7月初めに行ったアンケートでは総損失額12.7億円。キャンセル等となった公演数は3,000ステージに及び、約100万人の子どもたちが観劇機会を喪失。その後の感染再拡大により公演キャンセルは再び増加し現在も続いています。
子どもの健やかな成長発達に舞台芸術は欠かせません。コロナ禍のこの状況は、我々児童青少年演劇に携わる者たちの危機だけではなく、子どもたち自身の育ちの危機です。
そしてこのままでは、子ども時代に一度も舞台に出会えない子どもたちが爆発的に増加し、彼らと舞台との距離は広がる一方です。
彼らが成長した10年後、20年後には舞台芸術の担い手が不足するばかりでなく、舞台芸術を愛する人々は激減し、我が国の文化芸術は衰退していくでしょう。将来の文化芸術の根幹を揺るがす大変な危機に、今この国は直面しているのです。
我々はこの状況をどう乗り越え、子どもたちに舞台を届け続けるのか。模索は続きます。
2020年10月15日
日本児童・青少年演劇劇団協同組合
https://www.jienkyo.or.jp/